緑色(グリーン)の宝石14選|和名・モース硬度・名前由来・特徴解説|エメラルド・ツァボライト・翡翠・アレキサンドライトなど
緑色(グリーン)の宝石を14種類、ピックアップしました。
それぞれの宝石の名前の由来、和名、基本情報(屈折率・分散度・モース硬度)、特徴を解説しています。
- 屈折率⇒高いほど、輝きが強い
- 分散度⇒高いほど、光が分散して、虹色にきらめくファイアが強い
- モース硬度⇒傷のつきにくさ・引っかき傷に対する強さ(10段階中の数値)
YouTubeでも宝石・天然石の解説チャンネルを運営しています。ぜひ動画も見てくださいね!
※この記事では、動画で紹介している13石に加えて、加筆して14石を紹介しています。
エメラルド
エメラルドは、緑色の宝石を代表する存在。
サファイア・ルビーとともに、カラーストーンの代表でもあります。
世界4大宝石のひとつに数えられる宝石です。
ダイヤモンド・ルビー・サファイア・エメラルドの4つの宝石は、世界4大宝石と呼ばれます。美しさだけでなく、宝石として歴史もあり、世界中で価値が高い宝石と認められます。
エメラルドの名前の由来
エメラルドの名前は、サンスクリット語で「緑色の石」の意味の「スマラカタ」が語源。
そこから変化していき、古フランス語で「エスメラルド」となり、現在の「エメラルド」と呼ばれるようになりました。
エメラルドの和名
エメラルドの和名は、翠玉(すいぎょく)、または、緑玉(りょくぎょく)。
「玉」は宝石のことを意味しています。
エメラルドの基本情報:緑色の宝石の代表格
屈折率 | 1.577-1.583 |
分散度 | 0.014 |
モース硬度 | 7.5-8 |
エメラルドは、ベリル(緑柱石)の中でも、強い緑色のものです。
4000年以上の歴史を持ち、クレオパトラが愛した宝石としても知られています。
持つ人に幸運をもたらす「幸運の石」としても知られています。
エメラルドの緑は、見惚れてしまう美しさがありますね、
インクルージョン(内包物)が多いこともエメラルドの特徴で、インクルージョンが少なく透明度が高いものは高額で取引されます。
私個人的には、インクルージョンがたくさんあるものも好きです。
光を当てるとインクルージョンがキラキラして、それがまたキレイです。
エメラルドは、5月の誕生石です。
デマントイドガーネット
デマントイドガーネットは、ガーネットの中でも、緑色系(ウグランダイト系統)のアンドラダイトガーネットの変種です。
デマントイドガーネットの名前の由来
グリーンダイヤモンドに似ていることから、オランダ語で「ダイヤモンド」を意味する「デマント」から命名されました。
デマントイドガーネットガーネットの和名
デマントイドガーネットの和名は、翠柘榴石。
ガーネットの和名は柘榴石。
デマントイドガーネットの基本情報:ガーネットの中でも最高の評価を受ける緑色の宝石
屈折率 | 1.714-1.888 |
分散度 | 0.057 |
モース硬度 | 6.5-7.5 |
1853年にロシア・ウラル山脈で発見され、発見当初はエメラルドだと考えられたため「ウラル・エメラルド」と呼ばれていました。
高い屈折率を持ち、分散度はダイヤモンドの0.044を超えます。
とても輝きが強く、美しい宝石です。
デマントイドガーネットは、色や種類が豊富なガーネットの中でも、最高の評価を受けます。
ガーネットは、1月の誕生石です。
通販でも、宝石やジュエリーが購入できます。
実際にご自分の目で見て、気に入ったものを購入することがベストですが、値段や色・形状などの参考にもなります。
通販で購入される際は、石の大きさ・リングサイズはしっかり確認してくださいね。
スフェーン
2021年に、新たに7月の誕生石に選ばれた宝石です。
強い輝きが魅力の宝石です。
スフェーンの名前の由来
結晶が楔(くさび)の形をしていることから、ギリシャ語で「くさび」を意味する「スフェノス」が語源です。
スフェーン鉱物名と和名
スフェーンは成分にチタンを含むことから、鉱物名は「チタナイト」です。
和名は「楔石(くさびいし)」です。
スフェーンの基本情報:強い輝きを放つ緑の宝石
屈折率 | 1.84-2.11 |
分散度 | 0.051 |
モース硬度 | 5-5.5 |
スフェーンは、屈折率・分散度がとても高く、数ある宝石の中でもトップクラスです。
強い輝きがスフェーンの特徴であり、魅力です。
分散度はダイヤモンドを超え、強いファイアが見られます。
ファイア効果とは、光の分散により、虹色にきらめく現象です。ダイヤモンドが強いファイア効果を持つ宝石としてよく知られています。
スフェーンは、緑色の他にも、イエロー系統のカラーがあります。
モース硬度は5-5.5と低めです。
傷がつきやすいので、ジュエリーとして身につける際には、ぶつけたりしないように注意したいですね。
スフェーンの輝きは、ほんとに強いです。
光を当てながら角度を変えると、虹色のきらめき(ファイア)を見ることができます。
写真を撮ろうとしても、レンズ越しにしばらく見惚れてしまいます。
ペリドット
ペリドットは、鮮やな緑色から黄緑が美しいカラーストーンです。
ペリドットの名前の由来
アラビア語で「宝石」を意味する「ファリダット」が由来とされています。
ペリドットの鉱物名・和名
ペリドットの鉱物名は「オリビン」。
和名は、「橄欖石(かんらんせき)」です。
ペリドットの基本情報:太陽の石として崇められた鮮やかな緑色の宝石
屈折率 | 1.64-1.69 |
分散度 | 0.020 |
モース硬度 | 6.5-7 |
ペリドットは宝石として歴史が古く、古代エジプトでは「太陽の石」として崇められてきました。
ろうそくの明かりでも鮮やかに輝くため、ローマ人はペリドットを「夜会のエメラルド」と呼びました。
(イブニングエメラルドとも呼ばれます)
ハワイでは、「火の女神・ペレの涙」と呼ばれています。
ペリドットの明るい緑色はとてもキレイで、見てるとポジティブな気持ちにしてくれるような輝きです。
ペリドットは、8月の誕生石としても広く知られています。
ツァボライト
ツァボライトは、ガーネットの中でも、緑色系(ウグランダイト系統)のグロッシュラーガーネットの一種です。
ツァボライトの名前の由来
発見地・産出地のケニア・ツァボ国立公園の名にちなんで、ティファニー社が名付けました。
ツァボライトの和名
灰礬柘榴石(かいばんざくろいし)
ツァボライトの基本情報:緑色のガーネットの中でも知名度抜群
屈折率 | 1.74 |
分散度 | 0.028 |
モース硬度 | 7-7.5 |
1967年に発見され、1974年にティファニー社のプロモーションにより、世界から注目される宝石となりました。
緑系の宝石の中では、知名度も高いものです。
1月の誕生石・ガーネットの種類のひとつです。
グリーンサファイア
サファイアは、青以外にもカラーバリエーションが豊富。
青以外のサファイアは「ファンシーカラーサファイア」と呼ばれ、グリーンサファイアもその中のひとつです。
サファイアの名前の由来
ラテン語・ギリシャ語で「青」を意味する言葉が由来。
サファイアの和名
蒼玉(そうぎょく)
青玉(せいぎょく)
サファイアの基本情報:4大宝石のひとつ・サファイアの中でも緑のサファイア
屈折率 | 1.762-1.770 |
分散度 | 0.018 |
モース硬度 | 9 |
コランダムという鉱物の中で、赤いものはルビー、それ以外はサファイアと呼ばれます。
サファイアの代表的な色は「青」ですが、赤以外のコランダムはサファイアに分類されるので、サファイアには様々な色があります。
同じコランダムでも、含む成分によって色が変わります。
サファイアのカラーバリエーションは豊富で、緑といっても、濃い緑から淡い緑、2色のバイカラーなど様々あります。
サファイアはひとつ手に入れると、他の色のものも欲しくなってしまい、サファイア沼にハマりそうです。
サファイアは、9月の誕生石のひとつです。
グリーントルマリン
10月の誕生石・トルマリンには、様々な色があり「無い色はない」と言われるほど、多彩なカラーバリエーションがあります。
トルマリンの中でも、緑色のものがグリーントルマリンです。
トルマリンの名前の由来
スリランカの言語・シンハラ語で「混合」を意味する「トゥルマリ」が語源という説があります。
色が多彩なトルマリンは、他の宝石と混同されることが多かったことに由来します。
トルマリンの和名
電気石(でんきせき)
トルマリンの結晶を加熱すると、電気を帯びる性質があります。
グリーントルマリンの基本情報: ベルデライトとも呼ばれる緑のトルマリン
屈折率 | 1.624-1.644 |
分散度 | 0.017 |
モース硬度 | 7-7.5 |
グリーントルマリンは、「緑の石」という意味の「ベルデライト」と呼ばれることもあります(ヴェルデライトとも呼ばれます)。
緑とピンクのバイカラー(2色)のトルマリンは「ウォーターメロントルマリン」と呼ばれ、コントラストとグラデーションが美しく、人気があります。
(英語でスイカは「ウォーターメロン」と呼ばれます)
ウォーターメロンや2色のバイカラー、3色以上のパーティーカラーのトルマリンの美しさっていったら、たまらなくキレイですよ!
プレナイト
みずみずしいマスカットのような緑色の宝石です。
プレナイトの名前の由来
発見者のヘンドリック・フォン・プレーン大佐の名にちなんだもの。
プレーン大佐は、オランダの軍人で、鉱物採集家でした。
プレナイトの和名
プレナイトの和名は、葡萄石(ぶどうせき)。
プレナイトの原石が、ブドウの房のような見た目をしていることが由来です。
プレナイトの基本情報:マスカットのようなみずみずしさを感じる宝石
屈折率 | 1.61-1.64 |
分散度 | 弱い |
モース硬度 | 6-6.5 |
プレナイトは、マスカットのような緑色から、黄色っぽい色のものもあります。
美しいものはみずみずしさを感じさせるほどで、可愛らしい色合いが魅力です。
プリッとした感じの風合いと、色がカワイイ&キレイです。
翡翠(ヒスイ)
日本でも産出され、翡翠の緑の勾玉は、日本人に馴染みがある宝石ですね。
名前の由来
鳥のカワセミ(翡翠)の羽の色に例えられたことが名前の由来です。
硬玉と軟玉
翡翠は、硬玉と軟玉に分類されます。
硬玉と軟玉は別の鉱物ですが、両方とも「翡翠」と呼ばれます。
硬玉は、ヒスイ輝石とも呼ばれます。英語での呼び方「ジェダイト」と呼ばれることもあります。
軟玉は、英語での呼び方「ネフライト」と呼ばれることがあります。
翡翠の基本情報:日本の国石にも選ばれた緑の宝石
硬玉(ヒスイ輝石・ジェダイト)
屈折率 | 1.66-1.68 |
モース硬度 | 6.5-7 |
軟玉(ネフライト)
屈折率 | 1.60-1.63 |
モース硬度 | 6-6.5 |
2016年に、日本の国石に翡翠が選ばれました。
翡翠の最高品質のものは、インペリアルジェイド、または、琅玕(ロウカン)と呼ばれます。
靭性が高く、割れにくい石です。
グリーンアパタイト
カラーバリエーションが豊富なアパタイトの中でも、緑色のものがグリーンアパタイトです。
アパタイトの名前の由来
ギリシャ語で「惑わす・だます」の意味の「アパタオ」が語源とされています。
これは、他の鉱物と見誤られ、混同されてきたことに由来します。
アパタイトの和名
アパタイトの和名は、燐灰石(りんかいせき)です。
アパタイトの基本情報:透明感がある緑色が美しい宝石
屈折率 | 1.642-1.646 |
分散度 | 0.013 |
モース硬度 | 5 |
グリーンアパタイトは、透明感のある緑色が特徴であり、魅力です。
アパタイトは天然石として扱われることもありますが、透明感が高く宝石質のものは、高値で取引されます。
アパタイトは透明感があって、キリッとした輝きがあります。
知名度はそれほどないかもしれませんが、アパタイトはキレイですよ!
グリーンだけでなく、ブルーのアパタイトもすごく美しいです。
クロムダイオプサイト
ダイオプサイトには、様々な色があります。
クロムを含み、深い緑色のものは「クロムダイオプサイト」と呼ばれます。
※ダイオプサイトは「ダイオプサイド」または「ディオプサイド」と呼ばれることもあります
ダイオプサイトの名前の由来
ギリシャ語で「2つの見え方をする」という意味の言葉が語源。
ダイオプサイトには、見る角度によって色が変わって見える「多色性」という性質があることが由来です。
ダイオプサイトの和名
ダイオプサイトの和名は「透輝石(とうきせき)」です。
ダイオプサイトの基本情報:美しい深い緑が魅力の宝石
屈折率 | 1.66-1.72 |
分散度 | 0.017-0.020 |
モース硬度 | 6 |
様々なカラーがあるダイオプサイトの中でも、美しいグリーンのダイオプサイトは高い人気があります。
深い緑が美しい宝石です。
フォスフォフィライト
淡い青色から、青緑・ミントグリーンのものあるフォスフォフィライト。
「薄荷色(ハッカいろ)」と表現されることもあります。
レア中のレアストーンです。
フォスフォフィライトの名前の由来
リンを意味する英語・フォスフォラス、ギリシャ語で、植物の葉を意味するフィロンをあわせたもの。
フォスフォフィライトの和名
燐葉石(りんようせき)
フォスフォフィライトの基本情報:レア中のレアストーン
屈折率 | 1.59-1.62 |
分散度 | 0.012 |
モース硬度 | 3-3.5 |
傷が入りやすく、もろくて欠けやすい性質があります。
ボリビアで発見された石で、レア中のレアといっても過言ではないほど、とても希少な宝石です。
漫画やアニメの「宝石の国」の主人公の名となった宝石です。
コレクターにとっては、ぜひとも手に入れたい宝石。
アレキサンドライト
変色効果(カラーチェンジ)を持った宝石。
世界三大希少石のひとつに数えられます。
アレキサンドライトの名前の由来
1830年にロシアで発見され、色が変わる珍しい石として当時のロシア皇帝に献上されました。
そのときの皇太子・アレキサンドル2世の名にちなんで付けられた名前です。
アレキサンドライトの和名
金緑石(きんりょくせき)
アレキサンドライトの基本情報:色が変わる魅惑の宝石
屈折率 | 1.746-1.755 |
分散度 | 0.015 |
モース硬度 | 8.5 |
アレキサンドライトは、クリソベリル(金緑石)の変種。
太陽光の下では緑色に輝きますが、ロウソクの火や白熱灯の下では赤や赤紫に輝きます。
アレキサンドライトのカラーチェンジは「昼はエメラルド・夜はルビー」と表現され、宝石愛好家たちを魅了しています。
緑と赤は補色(色相環で反対側にある色)で、言い換えれば「真逆の色」。
アレキサンドライトのカラーチェンジは、まったく別の色に変わります(知っていて見ていても、驚くくらい)。
希少性が高く、高値で取引され「宝石の王様」と呼ばれることもあります。
ロシア皇帝の名を冠したことから「皇帝の宝石」と呼ばれることもあります。
アレキサンドライトは、6月の誕生石としても知られています。
パパラチアサファイア、パライバトルマリン、アレキサンドライトは希少石の高さから「世界三大希少石」と呼ばれます。
グリーンダイヤモンド
ダイヤモンドは無色透明以外にも様々な色があって、色があるダイヤモンドは、ファンシカラーダイヤモンドと呼ばれます。
その中でも、緑色のダイヤモンドは「グリーンダイヤモンド」と呼ばれます。
天然のグリーンダイヤモンドはレアストーンです。
世界でも有名なグリーンダイヤモンドには、「ドレスデン・グリーン」があります。
ドレスデン・グリーン
1700年代の前半に発見されたドレスデン・グリーンは、長い間、ドイツの都市・ドレスデンで展示されていたため、都市名から「ドレスデン・グリーン」と呼ばれます。
大きさは41カラット。
推定価格は2億ドルとされており、1ドル100円換算でも200億円。
2023年6月のレート・1ドル140円で計算すると、280億円です。
最後に
今回は、緑色(グリーン)の宝石を14石、紹介しました。
宝石や天然石を選ぶ際の参考になれば嬉しいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません