8月誕生石「スピネル(尖晶石)」を徹底解説!特徴・意味・宝石言葉・効果・和名・歴史【宝石解説】
スピネルは、美しい輝きと豊富なカラーバリエーションを持つ宝石です。
元々のスピネルは無色透明ですが、含有する成分によってさまざまに発色します。
赤いスピネルは1783年までルビーと混同され、イギリス王室の戴冠用の冠に使われた「黒太子のルビー」は、実はスピネルであったという例もあります。
「夢や目標を達成するサポートをしてくれる石」とも言われるスピネルは、新たに8月の誕生石に加わったことで注目度も増しています。
この記事では、スピネルに込められた意味や宝石言葉・色の豊富さ・歴史などを通して、スピネルの魅力をお伝えしていきます。
スピネル(spinel)の基本情報・特徴
まずは、スピネルの基本情報から見ていきましょう。
スピネルは赤・青・ピンク・オレンジ・緑・黒・無色透明など、さまざまな色がある宝石です。
「輝きの強さ・色の豊富さと鮮やかさ」
宝石名 | スピネル |
英名 | spinel |
和名 | 尖晶石 |
色 | 赤・青・ピンク・オレンジ・緑・黒・無色透明ど様々 |
誕生石の月 | 8月 |
宝石言葉 | ポジティブ・好奇心・挑戦・目標達成 |
硬度 | 7.5-8 |
屈折率 | 1.717 |
赤いスピネルは色や輝きの美しさから、ルビーと同じ宝石だと思われてきました。
ルビーとレッドスピネルの判別は、肉眼では非常に難しいことです。
日本では、2021年12月に「8月の誕生石」に新たに加えられました。
スピネルに込められた意味と宝石言葉は「ポジティブ・好奇心・挑戦・目標達成」。
「夢や目標を達成するサポートをしてくれる石」でもあります。
まずは、スピネルの名前について見ていきましょう。
スピネルの名前の由来・和名
スピネル(spinel)の名前の由来と、和名について紹介します。
スピネルの名前の由来は、ラテン語で「棘(とげ)」を意味する「spina」
スピネル(spinel)の語源は、ラテン語で「棘(とげ)」を意味する「spina」が由来です。
スピネルの結晶は八面体で、その結晶の先端が鋭くとがっていることから「棘(とげ)」を意味する言葉が由来となったとされています。
スピネルの和名は「尖晶石」
スピネルの和名は「尖晶石(せんしょうせき)」です。
「尖」は物の先端が細く鋭いことを意味します。
「スピネル」の美しい輝きとカラーバリエーションの豊富さ
赤・青・ピンク・オレンジ・緑・紫・黒・無色透明など、様々な色
スピネルは「赤・青・ピンク・オレンジ・緑・黒・無色透明」といった様々な色がありますが、その違いは、含む成分によるものです。
ここでは、スピネルの色について見ていきましょう。
レッドスピネル・ピンクスピネルの成分はクロム
レッドスピネル(赤)・ピンクスピネルは、クロムによる発色です。
クロムの含有量が多いほど赤が強くなります。
スピネルは屈折率が高く、輝きが強い宝石。
鮮やかな赤い色のレッドスピネルは「色・輝き」の両方ともルビーとよく似ています。
ブルースピネル・コバルトブルースピネル
青いスピネル(ブルースピネル)の色は、成分に「鉄」が含まれることによります。
青色のスピネルの中には、コバルトによって青く発色した「コバルトブルースピネル」もあります。
ナイジェリア産の青いスピネルはブルーガーナイトとよばれ、亜鉛を含んでいます。
青いスピネルは、サファイアにもよく似ています。
オレンジ色・紫色のスピネル
オレンジ色や紫色のスピネルは、鉄とクロムの混合物を含んでいます。
スピネルのカラーバリエーションはホントに豊富で、ひとつ手に入れると違う色も欲しくなります。
色の濃さも様々で、レッドスピネルでも、燃えるような赤・ちょっと暗めの赤・透明感がある赤・淡い色でピンクっぽい赤などがあります。
他の色も同じことが言えます。
たくさんスピネルを集めて、並べて「色」を楽しむことができますよ!
スピネルは屈折率が高い宝石
スピネルは、屈折率が高い宝石です。
屈折率が高いと、外にはね返す光の量が増えます。
スピネルの屈折率は、1.717です。
ルビーやサファイアの屈折率には及びませんが、トパーズやエメラルド、アクアマリンといった有名な宝石よりも屈折率が高い宝石でなのです。
色が鮮やかで、輝きが強いことは「一番のスピネルの魅力」です。
宝石名 | 屈折率 |
---|---|
ダイヤモンド | 2.417 |
ルビー・サファイア | 1.762-1.770 |
スピネル | 1.717 |
トパーズ | 1.609‐1.637 |
トルマリン | 1.624-1.644 |
エメラルド・アクアマリン | 1.577-1.583 |
水晶 | 1.544-1.553 |
水(液体) | 1.33 |
スピネルの希少性と価値
スピネルは、希少性が高い宝石です。
ルビーと混同されてきたスピネルですが、その希少性はルビーより高いのです。
ルビーと比べると価格は低いですが、スピネルに対する注目度は近年では上昇していて、価格が上昇してきています。
色が濃く、内包物(インクルージョン)が少ないものほど、高い価値が付けられます。
色別では、レッドスピネルが一番価値が高く、続いてブルーのスピネルとなっています。
スピネルの主な産地
スピネルの主な産地は、タジキスタン、ミャンマー、スリランカ、ナイジェリアなどがあります。
レッドスピネルはミャンマー産のものが有名で、宝石愛好家の中ではよく知られています。
タジキスタンのク・イ・ラル鉱山で産出されるスピネルは「バラスルビー」と呼ばれます。
スピネルはルビーと混同され、かつては「バラスルビー」と呼ばれていました
ピンクスピネルはスリランカ産が知られ、ナイジェリアでは青いスピネル(ブルーガーナイト)が採掘されます。
色や産地による名称
スピネルは、豊富な色があること・産地などによって、「〇〇スピネル」といった名称・呼び名があります。
その呼び名を一覧で紹介します。
スピネルの名称 | 色・産地 |
---|---|
バラスルビー | タジキスタンのク・イ・ラル鉱山で産出されるスピネル。 |
アヤナスピネル | タンザニア・マヘンゲ産のスピネルで、色は赤からピンク。「アヤナ」はスワヒリ語で「美しい花」「野生の花」という意味。 |
レッドルピネル | 赤いスピネル。ルビーと混同されていた歴史がある。 |
ブルースピネル | 青いスピネル。鉄による発色。サファイアによく似ている。 |
コバルトスピネル | 青いスピネル。コバルトによる発色。サファイアによく似ている。 |
フレームスピネル | 赤っぽいオレンジ色のスピネル。 |
ガーナイト・ガーノスピネル | 緑・青系統の色のスピネル。亜鉛成分が多い。スウェーデンの科学者・鉱物学者のガーン氏の名がつけられている。 |
ルビセル | 黄色からオレンジ色のスピネル。 |
ガーナナイトの名前のもとになった、スウェーデンの科学者・鉱物学者のガーン氏は「マンガン」の発見者として知られています。
スピネルの歴史・ルビーと混同されてきた宝石
レッドスピネルは長い間、ルビーと混同されてきた歴史があります。
ルビーとレッドスピネルは本当によく似ていて、その判別は肉眼では非常に難しいことです。
ルビーとスピネルが違う鉱物だと判明したのは、今からおよそ240年前のことです。
そんなスピネルの歴史を見ていきましょう。
1783年に初めて「ルビーとレッドスピネルは別の鉱物であるという鑑定」がされた
1783年、フランスの鉱物学者ロメ・ドゥ・リール氏により、ルビーとレッドスピネルは別の鉱物であるという鑑定がなされました。
それまでは、ルビーとレッドスピネルは「同じもの」と考えられていました。
判別がつかなかったといったほうが適切かもしれません。
ルビーとレッドスピネルは別の鉱物だと判明してからは、「ルビーのまがいもの」という認識が広まってしまったこともありました。
現在では、スピネルの知名度や認知度も上がり、別の宝石として人気が高まっています。
王室や貴族が持つ大きなルビーが、実はレッドスピネルであった
王室や貴族が持つ大きなルビーが、実はレッドスピネルであることがわかっています。
イギリス王室の戴冠用の冠に飾られている「黒太子のルビー」は、実はルビーではなく「レッドスピネル」であったことが判明しています。
イギリス王家のティモールルビー(352カラット)もレッドスピネルでした。
その希少性とスピネルの美しさから、評価は見直されて人気のある宝石となっています。
ルビーとレッドスピネルの違い
ルビーと混同されたレッドルピネルですが、「ルビーとスピネルの違い」はどうやって判別するのでしょう?
ここでは、「スピネル」と「ルビー」の違いについて見ていきます。
上記の3つの違いをそれぞれ解説します。
①成分の違い
ひとつ目の違いは「成分」です。
スピネルの化学式はMgAl2O4。
ルビーの成分ははAl2O3。
スピネルにはマグネシウム(Mg)が含まれています。
スピネルとルビーは別の鉱物で、ルビーの鉱物名は「コランダム」です。
②ルビーは「多色性」という性質をもつ。スピネルにはない性質。
2つ目の違いは「多色性があるか・ないか」です。
ルビーには「多色性」という性質があって、ルビーを光にかざすと色が変わって見えます。
- 赤く見える方向
- オレンジがかった赤色が見える方向
見る方向・角度によって、この2つの色が見えます。
これはスピネルには無い性質で、スピネルはどの方向からみても同じ色です。
③単屈折と複屈折
3つ目は、「単屈折と複屈折」です。
単屈折(たんくっせつ)は、宝石の中に光が入ったときに、そのまま一本で進む性質。
複屈折(ふくくっせつ)は、宝石の中に光が入ったときに、光が2本に分かれて進む性質。
複屈折の性質を持った宝石を通して文字を見ると、二重に見えます。
また、宝石の中の内包物(インクルージョン)が二重に見えたりします。
- スピネルは単屈折
- ルビーは複屈折の性質を持つ
この違いは、スピネルとルビーを区別する重要な要因です。
複屈折は「ダブリング」とも呼ばれます
肉眼でレッドルピネルとルビーの違いを見分けるのは難しいので、必要であれば専門家に依頼することをおすすめします。
日本では新たに8月の誕生石に加わったスピネル
日本では、2021年12月に誕生石が改定され、スピネルは新たに「8月の誕生石」に加わりました。
日本の誕生石のもとになったのは「アメリカ合衆国の誕生石」です。
現在のアメリカ合衆国の8月の誕生石は「ペリドット」と「スピネル」の2石が定められていて、それにならって日本でも8月の誕生石に加えられました。
現在、日本の8月の誕生石には、「ペリドット」「サードオニキス」「スピネル」の3石が定められています。
ペリドットは、緑色に強く輝く宝石。
サードオニキスは、赤と白の縞模様が可愛らしい宝石。
スピネルは、色が鮮やかでカラーバリエーションが豊富。
8月生まれの方は誕生石が3石あり、選択肢が豊富ですね。
ぜひ、お気に入りの宝石を探してみてください。
スピネルに込められた意味・宝石言葉・効果
宝石にはそれぞれ「意味」が込められていて「宝石言葉」と呼ばれます。
ここからは、
- スピネルの宝石言葉
- パワーストーンとしてのスピネル
について見ていきましょう。
ポジティブ・好奇心・挑戦・目標達成
スピネルに込められた意味・宝石言葉には「ポジティブ・好奇心・挑戦・目標達成」があります。
✓ エネルギーの活性化
✓ マイナスエネルギーの遮断
✓ 夢や目標を達成するためのサポート
パワーストーンとしてのスピネルは、「内面の充実を図り、体内エネルギーの活性化を図る」という効果があります。
マイナスエネルギーを遮断し、ポジティブなエネルギーを与えてくれるスピネルは、「夢や目標を達成するためのサポート」をしてくれます。
スピネルには様々な色があり、色により持っているエネルギーが異なるといわれます。
色により追加される効果
色 | 効果 |
---|---|
レッドルピネル(赤) | 生命力を高める |
ブルースピネル(青) | コミュニケーション能力を高める・精神性の向上 |
オレンジスピネル(橙) | 愛を貫く決心・知性と活力の向上 |
グリーンスピネル(緑) | 愛情・思いやりの気持ちを高める |
ブラックスピネル(黒) | カリスマ性の向上・自己改善 |
もともとスピネルが持つ効果に、色による効果が追加されます。
✓ 夢や目標を叶えたい人
✓ 勉強や仕事で成果を出したい人
✓ 新しいことに挑戦したい人
✓ 生き生きと毎日を過ごしたい人
(宝石が持つ効果の感じ方は、人によって個人差があります。ご了承ください)
最後に
今回は、スピネルはどんな宝石なのかを解説してきました。
ルビーと混同されてきた経緯から、昔は評価がされなかったスピネル。
近年ではスピネルの美しさが認識されて価値がどんどん上がっている宝石です。
他の誕生石や宝石についても、当ブログで紹介しています。
ぜひあわせてご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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