NHKスペシャル「ロストフの14秒 日本vs.ベルギー 知られざる物語」の感想【サッカーW杯2018】

2018年12月11日

2018年サッカーワールドカップ決勝トーナメント1回戦、日本対ベルギー戦。

ベルギーのカウンターの3点目に焦点を当てた番組が12月8日土曜日に放送されました。

番組名はNHKスペシャル「ロストフの14秒 日本vs.ベルギー 知られざる物語」

日本対ベルギー戦は2018年7月のことですが、テレビで観戦していた記憶や感情が昨日の事のように蘇ります。

日本側、ベルギー側の両方の選手のインタビューから、ピッチでプレーしている選手の側の考えていることを踏まえつつロストフの14秒を振り返るこの番組。

サッカーファンにはたまらない番組でした。

ベルギー選手のインタビューからは驚きながらも「怖さ」も感じ、日本代表を引退した長谷部のインタビューとプレーの振り返りではちょっと泣きそうになりました。

ロストフの14秒とは?サッカーワールドカップ2018ロシア大会・日本対ベルギー戦・ロストフアリーナ

サッカーボールと空

「ロストフの14秒」とは何か。

2018年サッカーワールドカップ、決勝トーナメント1回戦の日本対ベルギー戦。

2対2の後半アディショナルタイム、ベルギーは14秒間の超高速カウンターから3点目を決めます。

これが決勝点となり、ベルギーが勝利しました。

この試合がロシアのロストフアリーナで行われたことから、ベルギーの3点目・超高速カウンターが「ロストフの14秒」と呼ばれます。

日本にとっては悪夢の記憶

ベルギーにとっては最高のプレー

サッカーファンにとっては世界最高峰のプレーでシビレまくりのゴール。

日本のサポーターにとっては試合終了間際の嘘みたいな時間。当時テレビで試合を観戦していた自分もテレビの前で、

「なんじゃこりゃぁぁ!!!」

とうなだれました。

サッカーの悪夢

しかしながら、ベルギーにとっては最高のプレーで、世界のサッカーファンもベルギーを賞賛したことでしょう。

本田圭佑の左サイドコーナーキック

ベルギーGKクルトワがキャッチ

走り出したデブルイネにパス

デブルイネピッチ中央をドリブル

デブルイネがで右サイドのムニエにパス

ダイレクトでムニエがゴール前に折り返す

ゴール前のルカクがスルー

後ろから走り出こんでいたシャドリがゴール

デブルイネの速さと右からのムニエのダイレクトパス、マジカよと言いたくなるルカクのスルー、そこにシャドリが走り込んでいるという、シナリオが出来上がっていたかのような、ベルギーの最高のカウンターでした。

「ロストフの14秒 日本vs.ベルギー 知られざる物語」番組の内容

ロストフの14秒という、ドラマチックかつ超ハイレベルのカウンターに焦点を当てながら、選手のインタビューともにベルギー戦を振り返る番組。

後半2対0で日本がリードしてから後半23分に流れを変えるプレーがあったこと、ベルギーが1点返したとき、同点になったときの日本選手の心情。

リトバルスキー、カッペロ、ザッケローニ、オシムといった名だたる面々の言葉。

そして「ロストフの14秒間」の中、プレーしている選手の思考がインタビューを通してわかります。

あの高速カウンターの中での選手たちが何を考えてプレーしているのか。ものすごい攻防があることを知り、驚愕します

インタビューでわかる、ロストフの14秒の間の選手の思考。14秒の中でこんなに様々な判断や駆け引きがあるのか…。

サッカーの試合のイメージ画像

インタビューでテレビに出演した選手は、日本からは長谷部、長友、吉田麻也、原口、酒井宏樹。ベルギーではGKクルトワ、デブルイネ、ムニエ、ルカク、シャドリ。

あの14秒の超高速カウンターでボールに絡んだベルギーの選手と長友・長谷部のインタビューからわかる選手の思考と攻防には驚愕します。

コーナーキックを弾くことからキャッチに変えたゴールキーパーのクルトワ。

クルトワがキャッチする前から前を向いて走り出そうとするデブルイネ。

前にいる山口蛍を誘ったデブルイネ。

オフサイドトラップを考えた長友。

ムニエにボールが渡ったことで、パスコースを塞ぎに行った長友。

長友の動きで、ダイレクトで横にパスを出すしかなかったムニエ。

トップスピードで戻り、ルカクに追いつく長谷部。

後ろにシャドリがいたことがわかっていたルカク。

ルカクのスルーも選択肢にあって、足を伸ばしている長谷部。

カウンターを狙っていたベルギーの選手たちが何を考えていたのか、それを防ごうとする日本の選手はどう対処しようとしたのか。

オフェンス側からとディフェンス側の両方の選手の考え・狙いがわかる構成でした。

瞬間的な判断のスピードがとにかく早い。

14秒の中でこんなに様々な判断や駆け引きがあるのか…。

複数の選手からプレー中に考えていることを聞く機会はあまりないです。しかも攻撃する側・守る側の両方の選手からインタビュー聞きながらプレーを振り返ることは、サッカーファンにとっては貴重な体験です。

ベルギーの選手たちの言葉に驚きながらも、すごすぎて「怖さ」も感じました

選手たちのインタビューを聞きながら、今までとは違う見方でサッカーの試合を見ることができるかもしれないとも感じました。

終わりに

NHKスペシャル「ロストフの14秒 日本vs.ベルギー 知られざる物語」はベルギー戦がつい先日行われた試合かのように思い出される50分間の番組でした。

2対0になったときの期待感。ベルギーの1点目で「これやばい」とテレビの前で感じたこと。

途中交代で入ったフェライニのヘッドでの2点目で完全にベルギーペースになったこと。

そしてあの超高速カウンターで、勝利へ期待感が崩れ去ったこと。

あの時の興奮や落胆が蘇りながら、ピッチの上での選手たちの心情や考えていたことを知ることができたこの番組、すごく良い番組でした。

一瞬のプレーの間の選手たちの判断に本当に驚かされました。

今までは、シナリオが出来上がっていたかのようなカウンターというのが個人的な印象でした。

実際は、ベルギーの選手たちがそれぞれ瞬間的に判断しながら連動して生まれたゴール

コーナーキックになった時点で狙っていたのだろうし、身体能力・判断力・技術ともに世界最高峰の選手たちだからこその14秒間でのゴールだったんですよ。

恐ろしいですよ、ホントに。

ベルギーの超高速カウンターの中、ルカクに追いつきブロックに入った長谷部の姿と、長友の「一番危険なところに長谷部さんが戻っていてくれた」いう言葉にちょっと泣きそうになりました。

オシムさんが言っていた日本人の国民性も、勝負の世界ではプラスにはならないこともあるのかな。

ロシアワールドカップが終わり、森保監督のもとで新たなスタートを切ったサッカー日本代表。堂安・南野・中島といったアタッカー陣の活躍が注目されています。

世代交代が進む中、若い世代に期待をしながらも、吉田麻也や柴崎岳、大迫あたりが日本代表を支えていってほしいと思います。