ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』最終回の感想。主夫の立場から夫婦のあり方を考える。

2016年12月22日

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。最終回が終わりました。

TBSのドラマ、『逃げるは恥だが役に立つ』

先日、最終回を迎えました。『逃げ恥』では平匡さん(星野源)とみくりさん(新垣結衣)の契約結婚という偽装夫婦の関係が次第にお互いが好きになっていく過程がとても気になり、そして二人の心情に共感して、毎週楽しみにしていました。

逃げ恥の恋ダンスもYOUTUBEで驚異の再生回数を記録していました。

みくりさんを演じる新垣結衣さんがとても可愛いかったり、平匡さんを演じる星野源さんの穏やかな感じがとても良かった中、『逃げ恥』は夫婦の関係や夫婦のあり方を考えさせてくれるとても良いドラマだったと思います。

最終回はみくりさんへプロポーズした平匡さん。そのプロポーズを受け入れられないところからスタート。

平匡さんのプロポーズのきっかけも「そりゃダメだよ」と言いたくなる理由だし、「好きの搾取」と言われても仕方がないです。

みくりさんの専業主婦の労働の対価の話。夫婦の関係を会社に見立てて二人を共同経営責任者とするのも面白い考え方だと思います。

そして議題は共働きの夫婦の家事分担へ。

共働き夫婦の家事分担。夫もできることからドンドン家事やればいい。

家事をする夫共働き夫婦で「稼ぎが少ない方が家事分担が多い」というのは一般的にみなさん思うことだと思います。主夫業がメインの筆者もそう思います。

しかしながら、「稼ぎが多ければ家事をしなくてよい」という訳ではない。

毎日の家事は生活する上で「しなければいけないこと」。生活するのに困らない程度でやらなきゃ困ること。

家事をしてお給料がもらえるならどんなに嬉しいか…。

「家事はボランティアでやります」とクサッてしまったみくりさんの気持ちもわかります。

夫の稼ぎで二人の生活費が全てまかなえているのなら「妻は家事をキチンとして夫をサポートする」ってのもいいと思うけど、家事を全くやらないってのはどうなのかと思います。

それこそ「金を稼いでいる夫はえらい」、「夫が妻を下に見る」ということに他ならないです。

ホントは夫婦間に上も下もないんですが、「金を稼いでいる夫はえらい」、「夫が妻を下に見る」という価値観が当然の如くまかり通る世の中です。残念ながらそれが一般論・世間の常識です。

今の夫婦の多くは二人で仕事をして生活費を稼がないと生活に困るのが実情です。

二人で協力して家事や子育てをしていかないと「やっていけない」のが現状です。

「家事や子育てに関わらない夫」は話を聴くと結構いるみたい。不満を持っている奥様方も多いと思います。そんな夫で入れること自体、筆者には不思議でたまらないんですけど…。

みくりさんみたいに、夫がご飯を炊き忘れれば起こるのは普通。給料が安くたって仕事やプライベートで色々重なればイッパイイッパイで余裕がなくなるのも普通。イライラするもの普通。

そんな時、相方が晩ごはんをつくってくれたらどれだけ嬉しいか。

仕事が終わってクタクタの中、晩ごはんをつくるのが大変な時なんていくらでもあります。

普段、妻に料理も洗濯も掃除も任せっ放しにしている夫は仕事終わって疲れて帰宅後にごはんを作ってみればいいと思います。立場が反対の場合も同じ。

逃げ恥の最終回は夫婦の家事分担という大きな問題を改めて世の中に投げかけてくれました。

大切にしたいこと、大切にしたい人。

結婚した夫婦みくりさんが心を閉ざした場面。

平匡さんは、みくりさんが心をノックし続けてくれたことをちゃんとわかってたし、閉ざした心のノックの仕方もわかってるといってバスルームの扉越しに話しかけていました。

生きていくのって本当にメンドクサイし、普通じゃないことなんて最初からわかってると優しく言える。

胸に突き刺さりました。

「小賢しい」と自分自身のことを言うみくりさんに「そんな風に思ったことない」と言う平匡さん。

みくりさんは女性経験がないことを気にしている平匡さんを好きになったし、平匡さんはみくりさんが自分自身で気にしている部分を否定しました。

大切な人に自分の嫌いな部分を「それでいい」って思ってもらえること。そんな部分を気にしないでもらえること。

自分を肯定してもらえること。こんなに嬉しいことはありません。

ケンカをしてしまったり二人の関係がギクシャクしてしまうこともあります。

それでも、うまくいかない時、信じてくれる人・待っていてくれる人を見失ってはいけないし、話し合ったり時間をおいたり、だましだましでも続けて行くのが夫婦なんだと、平匡さん・みくりさんの言葉を聴いて改めて考えさせてもらいました。

みくりさんが実家に帰った時のお母さんの言葉を思い出しました。

「運命の相手なんかいない。運命の人にするの」。

「意思がなきゃ、続かないのは仕事も家庭も同じでしょ?」

ちょっとうろ覚えですが、夫婦にとって胸に染み入るような言葉です。

大切に憶えておきたい言葉が逃げ恥にはありました。

いろいろな夫婦・パートナーとのかたちがあって、それで良い。

ハグをする男性と女性逃げ恥では平匡さん・みくりさん以外にも百合さん・風見さん(石田ゆり子・大谷亮平、日野さん夫婦(藤井隆・乙葉のリアル夫婦)、沼田さん(古田新太)達といった様々な二人のかたちがありました。

逃げ恥の最終回には「色々な二人のかたち・関係があって、それで良い」というメッセージがあったように思います。

「常識的な夫婦」というかたちに囚われることは必要なくて、「二人が良いならそれで良いんだ」ということ。

少数派でも普通じゃなくても、二人で協力して生活していければそれで良い。

本当にそう思います。

筆者は主夫業がメイン。圧倒的少数派に属する人間です。

一般的ではないことを気にすることもあるし、周りには理解してもらえないこともあります。

「男のくせに…。」と批判されて傷つくこともあります。

でもパートナーが「それで良いんだよ」と言ってくれることが全てです。

主夫業メインの兼業主夫ですが、「お金をそんなに稼げてない」、「男性は外で稼ぐもの・女性は家を守るもの」という一般論・固定観念から外れていることを気にしている部分はあります。

それが自分自身の自尊感情の低さにも繋がっています。

だけど、逃げ恥の中での常識的ではない二人のかたちが自分の気持ちを救ってくれた気がします。

久しぶりにドラマに夢中になりました。胸がキュンキュンしたり、感動したり、夫婦のあり方を考えたりと、忘れられないドラマになりました。出演者の皆様・スタッフの皆様に感謝申し上げます。